お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Sunday, November 28, 2010

失敗から学ぶ

それこそ「思ったとおりに行かない」っていうのはお父さんの得意科目。失敗と修正の積み重ね。
だんだん賢くなってきたのは、失敗を経験として後に生かせる道を選べるようになってきたこと。
「あっち行ってぶつかって、反対行って思ったほどではなく、じゃ次は左へ行ってみようか・・」とやみくもに動かなくなった。少しでも前に進めるように、今までのことをすべて無駄にして生かせないということが無くなってきた。
でもきついね。脳みそからあぶら汗が出るような感じ。
考える、手を動かして書き出すだけじゃだめ。出かけていって、相手の反応を見て話も聞かないと証明もできないし。

「日本が好きだ」と国民が思ってくれる国

台湾、インド、トルコ、インドネシア、ロシアなどが「日本が好きだ」と国民の過半数が思ってくれる貴重な国だそうだ。
お父さんはインドはビジネス相手としては難しいと思っていたけど、たしかにお父さんがアフリカにいたときの上司はインド人。家族ぐるみで親切にしてくれた。インド人は確かに優秀だった。そしてこの10年、さらに国は変わった。進化したようだ。
アルワリヤさん、また会ってみたい。

プロが入ってくる学校、お奨め

同級生にプロが入ってくる学校はお奨め。いい緊張感が生まれ、上から目線で教えられてやらされているというより、先生に何とかアピールしたいという雰囲気が生まれる。先生と一緒のプロの仲間に入れてもらいたいって。
なんだかプロの人と一緒だと引け目を感じるかもしれないけど、君と同じ同級生だ。それに技術が上のプロにしても、高校卒業してすぐ入ってきた人は技術が未熟なのはあたりまえなのだから、一生懸命ついてこようとしてくれる年下を、邪魔とは思わずにかわいがってくれるもんだ。課題での共同作業は、君の未知の可能性を見出してくれる場でもある。

そんな学校は同い年の学生だけの同質的な甘さはなく、異文化に触れるような経験。お奨めだ。
さらには本当に国際色豊かならなおいい。尊敬しあえる人間関係と誇りが生まれる。
「大学でいい成績を取って就職に有利になろう」といったような、成績表という結果だけを求めるものとは違い、プロセスが貴重。充実感を生む。

今の伝統校にこういった学校がほとんど見当たらないのが残念だ。

Saturday, November 27, 2010

夏休みが大きかった その2

1年生の夏休みの前に、ボーっとしてどこにも出かけずに過ごした時期があったね。ただ留守番をして、料理を作って日が暮れるという生活。
結果的には力を抜いて、そして力をためて羽ばたくことができたから、貴重なボーでした。
誰に文句を言われることなく、夢中で走った後のまだ何も自信が生まれていないときに、長い期間ボーっとできたのは無駄ではなかった。
「自分はやっぱりだめだ、だめなやつだ」と後悔のどつぼにはまらなければ、ボーはとてもいいことだね。

みんなオーディション

一度に大金を払ってくれるような、大きな仕事でいいお客さんに認めてもらえる場合。
金額は小さくても、たくさんのお客さんに認めてもらえる場合。
お金は払ってもらえるんだけど、利益が少なくてジリ貧になる場合。

お客さんはとりたてて今買うつもりがなく、仕事がない場合。
価値を知ってもらうのにコストがかかりすぎる場合。
一度味を知ったら何度でも繰り返し買ってもらえる場合。
誰でもが知っている場にいるから、お客さんから集まってきてくれる場合。

自分でいろんな舞台を自分で創って用意して、知名度や評判を積み上げて行くのって大変だ。
お父さんの仕事も、オーディションを毎回受けなきゃいけないクララとたいして変わらない。

利益の確定

たとえば株を売ったり買ったりするけど、買ったときより売ったときの値段が高ければ儲かったと思うわけだ。1000円で買って1300円で売ったら300円儲かったという具合に。
この間、時間がどのくらい過ぎてもかまわない。売るという行為を行ったとき、損した、儲かったということが確定する。

決める時期が自由なら、ずーっと持っていていいわけだ。損も得もしない。
お金が必要になって「どうしても今売らなければいけない」というときは、大抵損をするようだ。
または「今が買い時」という情報が出回ったときは、高くなっていてすでに買うには遅いことが多いようだ。
パチンコだって玉が出ているときにやめれば、利益が確定する。もうちょっと儲かるだろうとやっていると、玉が無くなって損が確定する。相手から「打ち止め」といわれない限りは止め時が難しい。

勝ち組負け組という言葉と、それを確定する勝負期間ってなんだろう。
将来伸びそうなんだけどなかなか売り上げがある規模以上にならないことや、そんなに努力していないのにある程度売り上げが飛び込んでくることってあるよね。
株価なんて不思議で、今は売り上げがなくても将来性だけで高くなったりする。
決算が1年でなく5年くらいならいいな。現実にはどんどん結果を求められる時間が短くなっているけど。

お父さんは子供たちには長い期間で勝負してくれればいいと思っている。短い期間で結果を求めず、あきらめて止まらないで進化し続けていればうれしい。

赤字は罪悪

松下幸之助さんのような経営者が言ってる「赤字は罪悪」というのは、大会社や官公庁、市町村などの大きな組織のことかな。
新規事業を立ち上げている時など、どう考えるのだろう。素直に従えば、飛び立とう、新しい価値を作ろうという人がいなくなっちゃう。
もちろん続けることができなければ、新しく価値も生まれない。
なかなか飛び立てないお父さんの仕事のことを考えると、ちょっと萎えるなあ。
赤字と判断を確定させる単位期間の長さが違うと考えたい。子供の1年と大人の1年の長さが違うように。

「1日23時間仕事のことを考えるくらいでなければ、経営者は務まらない」って誰か言ってた。
昔はそんなのは特別ながりがり亡者のような人だと思っていたけど、そうでもなさそうだ。やらされている仕事でない限り、自然とそうなってくる。なんとか完成させたい、美しく育てたいと入れ込んでいると、23時間なんて普通になってくる。
最近では違う人がニュースになってるけど、お母さんの子育てがそうだったからね。
24時間体制だ。

屋根裏部屋

お父さんが今泊まっている部屋は屋根裏部屋。ちょっと広めだけどね。ミュンヘンのホテル。
窓の外、雪が綿毛が舞うようにおちている。
一日ほとんどこの部屋で過ごしてしまった。
1年に何日か、こんな日があってもいいかな。

Friday, November 26, 2010

向き不向きがあるよ

みんなが一流大学を目指さなくていい。自分にあった場所を選ぶのが一番いい。
人には向き不向きがある。人と違うから価値となる。
大学で学ぶ目的は、最終的にはよりよい仕事の実践のため。
好きな分野を仕事にして、社会で要求される高い作品レベルを生み出すため。
社会の役割を担って、できれば自分から未来の価値を創ってゆくため。
そこにたどり着くなら、大学を通らなくてもいいよ。

リーダーシップとは。
価値を作り出すとき、もっともっと大きな流れにするため。もっともっと価値を生み出すのにいい環境を整備するため。やむにやまれずにじみ出るもの。
現状に満足できないから、他の人には見えない君の理想を形にするのに、見えている人が先にたってそこへ向かってゆくこと。もしかしたらしかたなくはじめているものかもしれない。
また、完全にたどる道のりが見えている人はいないだろう。だって答えのない世の中だ。社会経験がなければなおさら。今は見えなくても安心しなさい。
注意深く自分の頭で方向を考え、周りを観察したり意見を聞いて、風向きを読む人のことだ。まず他人の考えありきではない。自分の立ち位置から道を延長していく考え方のできる人だろう。
お父さんはリーダーシップという言葉にこんなイメージを持っている。だましてでも「人を使うのがうまい」という感じではない。

伝統校といわれる一流大学に入れなかったら負け組でもないし、デジハリのように大学を卒業した人がまたやってくる大学、世の中がわかった社会人やプロが入りたがる大学もある。お父さん的には、そちらのほうが本物だと思う。

何になりたいかわからない?それならひとりで海外を旅することを勧める。
なりたいもののイメージがある?それならなおさら海外に住んでみることを勧める。
大学時代に一番やってほしい経験だ。

夏休みが大きかった

アメリカの大学での初めての夏休み、無常にもお父さんやお母さんはにこにこしながら「日本に帰らないでもうちょっといなさい」と。クララは単身ロサンゼルスのダンススクールへ。
教会の寮に夜遅く着き、真っ暗な中、ゆっくり玄関からやってくるシスターに、「はやく門を開けてくれないかな」とあせった日はつい2年前。
この夏休みの冒険が大きかったね。これをきっかけに変わった。
働きながらためたお金で夢を実現しにやってきた人を見た。頼る人もない中でなんとか自分の力でレッスンを受けることができた。
いつの間にか言葉が聞こえるようになり、自信をつけ、積み重ねていった結果が今の毎日。
あの夏のことは一生忘れないだろうね。

クララのまわりに感謝祭

あの英語の苦手だったクララがアメリカの大学に渡り、田舎町からひとりニューヨークへ出てダンスの学校へ入る。そしてダンスカンパニーの予備軍として一緒にリハーサルをし、大学を訪問してダンスを披露。指名されて英語でスピーチもするようになった。
この話をお父さんの友人のイギリス人に話したら、「娘さんはとても勇敢だ」と言われた。
「アメリカにいるから当たり前」なんて言わない。その裏にある努力や意思や、そういったディテールを汲み取ってくれる。

彼にもテニスの世界で身を立てようとしている才能ある息子さんがいる。親元を離れ、アメリカの大学に入ったばかりだ。
そのお父さんの友人は、数年前仕事に失敗したので決して豊かな家庭とはいえないが、息子の才能を開花させたいと奔走し、資金集めに頭を下げてまわり、父親として苦労した。悔しい思いもたくさんあっただろう。それでも周りの支えもあり、息子さんはアメリカで才能に磨きをかけることになった。
お互い子供たちのチャレンジをうれしそうに語ることができた。

そして遠く離れた子どもたちのチャレンジを守ってくれている周りの人たちに感謝。

アジア大会サッカー優勝

有名な選手がJリーグのために集められず、J2と大学生の控えばかりのようなメンバーで構成されたU-21の日本代表が優勝。なんか感動的。

どんどんひとりで出かけちゃう

お父さんの持ち味はアウェーの勝負。どんどん相手のところに出かけちゃう。逆に寄ってくる人には警戒するほうだ。

海外の会社と仕事でのいい関係を作るのには3年くらいかかる。
こうしたい、ああしたいとアイデアを出し続け、言い続けている。
相手も自分の役割ややらなければいけないことがあるので、すぐにお父さんの希望どおりの結果を得られることはない。
でもいろいろ飛び込み続けて、知り合った会社を紹介しあうと喜ばれる。
多分に「あの人が長年付き合っている会社ならよさそうだ」という評価がある。
開拓し続け信用を積み重ねてゆくことは、どんな場合でも大切なことだ。
同時に自分の作品の価値を、磨きつづけていかなければいけない。

ソニー、ホンダ、カラテ、クロサワ

お父さんが学生のころ、南米やヨーロッパを一人で旅したとき、出会った人によく言われた。
「日本から来たのか。ソニーはすごい。ホンダもいい。」
「カラテできるのか?カラテはかっこいい。」
「日本の映画は大好きだ。クロサワの7人の侍。いいね。」
「日本にはすばらしい建築家がいる。タンゲ、マエカワ、それにクロカワ。」
ひとりでなにもつてのない中を旅していて、出会った人に笑顔でこういわれるとうれしい。先輩たちのおかげで無事に旅をすることができ、守られ、仲間に入れてもらい、敬意を払われる。お金をいくら持っていても得ることのできない経験。日本に生まれたことが誇らしく思える瞬間だ。

お父さんはできれば世界の人に受け入れられる仕事をしたいと思う。先達がしてきたような。
そうすれば若い君たちが貧乏な旅をしても、出会った人たちから仲間に入れてもらえる。お守りになる。そして新しい世界が開ける。国や文化が違っても、人間力で勝負する感動を味わえる。どこでも自由に生きてゆけるようになる。
それが先達たちに対するお返しでもあると思っている。
凡人で力不足でも、この気持ちは忘れない。

Tuesday, November 23, 2010

不安に追い回されない方法

自分で創ること。受ける側でなく、創る側に立つこと。

ミュンヘンにて

今ミュンヘンにいるのだけれど、ドイツには何度か来たことがある。
ドイツについては仕事の相手がいるハンブルグのことしかすぐには思い浮かばなかったけど、ワールドカップドイツ大会の年にいろいろ回ったんだよね。
一番最初にドイツに来たのは22歳のとき。世界一周一人旅したときに立ち寄ったんだ。いつもひとりで、不安と好奇心の交錯する中を旅してきたなあ。それは今でも同じ。
今回も初めての土地に降り立った。明日は英語でヨーロッパの人相手に事例発表会でのプレゼン。これも初めての経験。

いくつになってもはじめての経験の連続。答えのない時代だから、それを楽しまなきゃね。
学生時代には、仕事をはじめてしばらくすれば、なんでも答えられるような人として完成すると思っていたけれど、次々新しい課題が出てくるのが現実だった。むしろ完成しないまま、ずっと進化を積み上げるものだと思ったほうがいい。
身近な例で言えば、父親なんて子供への対応ははじめてのことばかり。子供時代にはえらく見えても、威厳を保とうなどと思っていたら間違える。ほんとうは、子供以上に素直に物事を見て対応しなければいけないんだよ。そういうふうに思えることが、積み重ねた経験からくることなんだろう。

Saturday, November 06, 2010

日本人は意見を持ってない?

英会話学校のテレビコマーシャル。
会議の様子が映し出されている。机の下ではサッカーボールのパスをやりとりしていて、会話のやりとりを示唆している。そして日本人ビジネスマンのところに意見を求める場面。若い日本人ビジネスマンは困惑し、机の下ではボールを空振り。
「英語ができないのではありません」
テロップが流れてコマーシャルは終わる。

普段から会議でテーマになるトピックスに関心を持って、メモしたり、思いついたときに深く考えてみたりという積み重ねがないと、うまくいかないはず。
ちょうど正確なパスを出すのに、リフティングの練習を普段からしていないと、流れの中ではぜったいうまくいかないのと似ている。
さらにいえば、正確なだけではない意表をついたスルーパスや決定的なパスを出せるのは、普段から流れをつかんで違った視野を持ち、瞬間的に判断できるイメージトレーニングが必要だ。

相手の意図を見ないで、流れからはずれた自分の意見を主張することは、サッカーで言えば意味不明なパス。まわりの流れやペースをくずすし、相手に時間を与える不利なもの。でも、これが多いんだよね。堂々と意見を言ったって思い込む勘違い。

サッカーにたとえて理解して普段から準備、イメージトレーニングしなさい。下手な会議はぐるぐる同じところをまわる。