お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Sunday, May 30, 2010

散り際の美学

このごろケルト音楽に興味を持ったけど、津軽三味線なんかもいい。
白と黒の世界。雪景色の吹雪の平原、荒れた海に海岸の猟師の小屋。風に揺れる窓を覆うビニール。
自然の厳しさに耐えている風土が、じっと目をつぶり、正座して淡々とリズムを刻んでゆく美学をはぐくんでいるよう。内に秘めた力というか、龍のように駆け巡る音というか。

ストイックなサムライ的な美しさなど、いろいろ日本的な美学ってあるよなあ。
風に流れる桜の花びらとか、熊野古道の苔むした石段。
散り際の美学って感じ。

Saturday, May 29, 2010

友達は一瞬で決まる

出会いは一生心に残る友達を作るけど、一瞬が大切みたい。
一緒にいる時間の長さだけが大切ってわけでもないみたい。
濃さもあるんだよね。
特に自分も相手も、明日をも知れない場所で助けが必要なら、あとで心に残る日々になると思う。
そんなにおいがしたら、助けられるなら力になってあげること。
このご縁のにおいって、後になってでないとわからないことがあるよ。

解決を迫られるとき

過去の経験から「あ、それだったら・・」とすぐ自分のことを話す。
若くて経験がないから「みんなで相談して解決しよう」と、傍観者に埋もれる。
のんびり勉強からはじめる。
誰かに聞く。知らないといわれたら、「つかえねえ」と捨てゼリフ。
強引にだれそれかまわず、自分のやりたいように行動する。
やりやすそうな相手に有無を言わさず、やらせる。
ほっておく。さらに迫られたら逆切れ。
逃げる。

経験が浅いから、現状と前提条件と取れる手段をロジックで組み立てていく。
使えるノウハウが少ないから、まず事例を勉強して、事例との前提条件の違いを確認する。
何度もデッサンのように、消しては描き、消しては描いて、確率の高そうな解決法を仮定する。

解決を迫られるとき、人を見られる。

オバQとガンダム

直線の多いガンダムのほうが、描く人は仕事しやすいだろう。ひょっとすると、下請けや弟子に仕事を出しやすいかもしれない。
曲線ばかりでシンプルなオバQは、腕のいい職人がするような仕事なんだろうな。

デッサンってなんで何度も書き直すの?

デッサンを見ていると、何度も書き直している。一筆書きのように、一度ですまないのか。
漫画を描くのを見ていると、薄い線で輪郭や縦横の補助線のようなものを書いている。なんでどうせ消すのに書くのか。
ロゴを考えるのに、何パターンも似たようなものを作っている。なんでひとつにしないのか。
文章を書くのに、なんども推敲をしている。なんで一発で書けないのか。

一見面倒くさいことをやっている。
だけど自分で作品を作ろうとすると、たとえそれがビジネスで製品を作ることでも、同じようになんども試行錯誤し、書き出しては削り取り、補助線のようにあちこちの言葉を結び、条件別、対象別に構想しなおし、何度も同じことをメモしては、少しずつ変えていっている。
磨きこんでいる作業。

構想するとか、しくみのデザインとか、作品を作るとか、製品を作るとか、みんな書いては消し、作っては壊し、みがいている。
なぜか面倒だとは思わない。

仕事は効率よく早くやらないと悪だと思っていたけれど、そればかりではない。
価値の創造には、プレッシャーは必要だけど、効率ばかりを基準にするのは逆効果になることもあるだろう。
もっとはやくこのことに気がつけばよかった。

いつもコンセプトをみがいている

「どうしたら、より役に立つものになるかな。」
常に製品の改善点や、新しく加える機能をどういったものにしたらいいか考えている。
けれどもいろんなことが盛り込まれすぎていたり、ばらばら機能が追加されていったのでは、一見よさそうだけど覚えてもらえない。
「あそこは他店にないやきそばが食べられる店」みたいに、一言で言えなくては、人々の話題から消えてしまう。何でもある食堂は、何もおいしいものがないように思えて、埋もれていってしまう。

どれを加えずにどれを伸ばすか。
こんな試行錯誤がいつも頭の中をかけめぐる。
要するに、いつもコンセプトをみがいている。

Tuesday, May 25, 2010

経営の動的平衡解釈

会社も生き物のようだ。
会社にとってのエントロピーの法則は、製品がコモディティー化することだろう。
何年も同じものを売っていると、いろいろなライバル会社が出て価格競争になったり、工法が変わって今まで売っていたものが売れなくなる。そのまま続けていると、企業の死を迎える。
時代や環境に応じて、常に新しい製品やサービスを世に問い自分を変えてゆくのは、生き物が自らの細胞を一度作ったらそのままずーっと生かすのではなく、常に入れ替える新陳代謝のよう。

細胞は何回も細胞分裂を繰り返すうちにDNAのコピーエラーをおこし、それを重ねることでがんが発生、制御不能になって死を迎える。
会社の場合は決め事をたくさん作ってゆくと硬直化し、組織がどんどん自分で大きくなろうとして制御不能、活力を失って倒産。

生き物はそうなるまえに、自分と違う性との結びつきで、自分とは別の子供を残す。そして子を育て、種を受け継いでゆく。子供はその時代から刺激を受け時代に対応した能力を得てゆくが、親からは精神を受け継いでゆくのか。
会社の場合は、たぶん違う分野にスピンアウトするなど、新規事業で精神を受け継いでゆく。

Sunday, May 23, 2010

ツイッターだったら

お父さんはツイッターを使うとしたら、メモ代わりかな。
でもマイブックに鉛筆で書くほうが、発想はスムーズに広がるな。
やっぱ、使いこなせない気がする。

何でブログに書くの

お父さんはなぜこのブログを書くのか。家族に伝えたいとても私的なことを、なぜ誰でも見えるブログに書くのか。
迷惑がかからないように個人特定につながる名前は伏せているけど。
このブログで一種の遺言のように、生きてた証を残したいなと思ったから。
ブログに書いたほうが緊張感があって、自分の考えをきちんと整理できそうな気がしたから。
メールよりも、あとで過去にさかのぼって見やすいから。
出張先のホテルで、思い立ったときに書き残せるから。
しゃべるのは苦手だから。
インターネットという、不思議なあちらの世界を取り込んでみたいと思ったから。
そして遠く離れたときのほうが、君たちへの大切な話をじっくり出来そうだと思ったから。
こんなところかな。

仕事はデザイン力、構想力

決められたことをこなすのも大切だけど、できれば早いうちから「新しい価値を世の中に問うことの出来る人になろう」と、そんな場を求めチャレンジして欲しい。
できればお父さんたちの想像も及ばない分野で活躍して欲しい。
想像が及ぶ分野ではきっと、今の価値観で間違ったアドバイスをしてしまいそうだ。
希望を言ってもいいなら、君たちには海外でしばらく仕事をしてもらいたい。旅のついでに立ち寄る楽しみがあるからね。
もちろんお天道様に反するような生き方ではいけないけど、君たちはそれは無いと思えるから。

スキーのように

お父さんは動的平衡って言葉は知らなかったけど、スキーのように、流れの中で斜面に対応してゆくようなことが、生きることだとは感じていた。
型を知ることも、動きの流れの中で身につける。
英語の勉強も、ばらばらにした単語や文法ではなく、状況の中でのひとまとまりの言葉の流れとして身につける。
リフティングやミニゲームでサッカーを覚えてゆく子ども達のように。

ゴールを目指す

美しいパスの美学に酔うよりも、がむしゃらにゴールを目指す。
以前はボールを奪われなかったこと、正確にパスできたことに満足していた。日本人的な感覚。そしてゴール前まで持ち込んでも、パスをする相手を探しているうちに、ボールを奪われてしまうことも。

そして海外のチームへ。
みんなが認められようと自己アピールをする海外のクラブチームでもまれて、たどり着いた考え方が「常にゴールを目指す」。パスが来なければ、相手から奪ってでもゴールを目指す。

若い選手には厳しいことも言い、プライドや実績のある経験者には、話を聞くように接する。
チームメートのだれからも一目置かれる存在に。
本田選手の番組を見て、見習いたい日本の若者だという気がした。

ダイエットと就職

人は何万年も飢えていたから、なるべく食べられるときに食べて、エネルギーを蓄えようとするようにできている。環境が変わってしばらく獲物が取れなくても大丈夫なようにと。だから食べるものに困らない先進国はダイエットが必要になってしまう。根本にある欲求で、つい食べ過ぎてしまうんだよね。

食べ物で飢えはしなくても、現代は別の意味での飢えの行動パターンが見られる。
たとえば就職。仕事に就けなければ飢えてしまう。その不安から逃れられない時代。
中小企業も同じ。仕事が受注できないとこまるので安値受注競争をはじめるし、資金繰りも安定しない。儲けられるときに少しでも儲けておきたいと思うし、行き過ぎた行動も行われやすい。
解決方法としては、狩猟から農業に移行したように、受注産業から製品を提案する方向に切り替えることも必要だと思う。長年その業界でやっていると、新しい勉強もしないし、販路も無い。受け入れてもらえる価値のある製品を作れるかもわからない不安の中で、新天地に飛び込むリスクもとれなくなる。
サラリーマンも受注産業と同じ。仕事が無いなら安値で自分を売るより独自の価値を提案できるよう、就職だけを目指さずに、独立や自営も視野に入れたらいいと思うのだが。長年豊かなマーケットだった日本がダメになったのなら、いま活況を呈している海外を目指すのも必要だろうけど。

若者の就職問題だけでなく、中高年も不安からだまされてしまう人も多い。将来の不安。詐欺に引っかかるのも、きっと不安をあおられるから。
言えることは、「不安の中を旅するのがあたりまえ」という経験を、ぜひ若いうちにしておいて欲しい。

言いたいことはたくさんある

親になると子どもに対して言いたい事がたくさん。
勉強しなさいとか、こんなことしたほうがいいよとか。

世の中変わって前提条件が変わった時代に、よくよく観察もせず、自分が言われたことをそのまま、いわば前の時代の自分の持ってる固定観念を検証もせずに子どもに言ってどうする。
動的平衡の話で思ったことだけど、よりうまく適応できるように失敗体験をたくさんしてもらい、失敗してもなおかつ、自分から自分を壊して再構築する意志を育てることが、より必要な親の役目のような気がする。そういった価値観というか、美意識とでも言うのか。
これって、どうすればいいんだろうね。

もっといいところを引き出してあげて、幸せになって欲しい。
こんな気持ちを伝えたい。
固定観念に安住しないように、肝に銘じよう。

春の美しさが分かる歳になってしまった

春の息吹。見ていると力が抜けるほど美しい。
きっと年取ったんだろう。こんなことに気がつくようになってしまったということは。

ビデオで春の花芽を撮ってゆく。あとで再生してみると、もっとゆっくり立ち止まって写さないといけないことに気がつく。はやくまわしすぎたり、すぐレコーディングのスイッチをきってしまったり。
もう少し長く、じっとそのまま写していて欲しい。そうでないとよくみえないものだなと思う。

もっとじっくりと見て、観察してあげることを人は忘れている。具体的には親や社会もそうかな。次世代を見る目。

エンドロピー増大の法則

部屋は、ほおっておけば散らかる。
金属は、ほおっておけば錆びる。
記憶も、ほおっておけば忘れる。
整理された美しい状態は、ほおっておけばほこりをかぶる。

使いやすい、美しい、エネルギーに溢れる状態は、ばらばらになり、錆び、すぐには使えない状態になってゆくのが世の常。
DNAの遺伝子情報も、コピーを重ねるうちにエラーを起こす確率が高くなって、制御不能の細胞をつくってしまう。これががんであり、生命の終わりだそうだ。
秩序を保ったエネルギーの高い状態は、熱になり、解放され、エネルギーの低い状態になる。いわば死ってこと。これがエントロピーの法則。運命みたいな感じだ。

生きているというのは、逆らえないこの法則に挑んでいる状態。
生物の体は、常に自らの細胞をこわし、新しく作り入れ替えて秩序を保った状態にしようとする。
数ヶ月で人間の細胞は、すっかり新しいものに入れかれられているそうだ。それが新陳代謝。
食べたものは消化してばらばらにし、また分子レベルで組み替える。だれが命令するでもなく細胞同士がおたがいに空気を読みあうようにして、こういったことがおこっているという。

生きているってことは、常に自分から先回りして壊して作り直してゆくことであり、だんだんエントロピーの法則で遺伝子のコピーのエラーが増える前に、自分とは別のあたらしい命に次の世代を受け継いでいくこと。
環境の変化にも自らを変えてゆく。どちらかというと突然変異の変わり者が残る。みなと同じでないものがいることで、生き延びる知恵を授かってゆくのか。

生きていくってことは美しいってこと。流れの中でバランスを取り、自ら壊し作り直して、環境の変化の中で新しい秩序や作品を作っていこうとする意志そのものみたいだね。

Wednesday, May 12, 2010

経営も家族も自分も動的平衡

さまざまな刺激に遭遇すると、神経回路が太くなる。これでうまく動けたり、早く反応できたり、記憶できるようになるそうだ。生まれたときは回路はたくさんあるけれど、どれが太いってわけではないみたい。すべてに対して可能性を準備された状態。そして生きていくうち、出会った人、環境、または自ら勉強して身につけたことにより、回路が太くなるそうだ。
ということは細胞が同じクローン人間を作れても、時代や環境や出会いが違ったら2人は同じにはならない。一度きり。芸術だ。
細胞は常に新陳代謝で入れ替わるけど、太くなった回路は維持される。太くなった状態を作り直しているわけだ。

動的平衡。流れの中で状態を維持すること。福岡さんの本の言葉だけど、生きているということを表す言葉。

そうすると、持続可能性な社会を作るというエコの根本も、動的平衡かな。箱物を作っただけじゃダメ。決め事を作っただけじゃダメ。動かしたり、守って行動してゆかなければ。

家の中のことでも、たとえば洗濯機は壊れる。
余計な出費が出ると思うけど、動的平衡から考えたらあたりまえ。
必要なのは洗濯するという行為なんだから、機械は壊れて機能を果たさなくなるのがあたりまえなのだから、それに備えておかなければいけない。端的に言えば修理費用を貯めておくということ。
経営で資金繰りが大変だと思う。
これも売れたり売れなかったり、売上に波があるのだからあたりまえ。
でも、つい買ったらもう費用がかからないとおもってしまう。ずーっとコンスタントに、いつまでも売れるような気がしてしまう。そこには維持してゆく努力ということを忘れがち。
物を買うんじゃない。それによってできる状態、効果や成果が欲しいわけ。効果を物が生み出すには、エネルギーも要るし、錆びて壊れることに対する備えも必要。どうしても手間がかかるんだ。
思い当たることがたくさんあるなあ。

日常のことすべて、動的平衡があたりまえということで考えたほうがいい。

Tuesday, May 11, 2010

バイオベンチャーがうまくいかないわけ

福岡伸一さんの「動的平衡」という本に書いてあった。
生き物は環境の変化に適応しようと、自分を変えてしまう。
だから工学分野と違ってバイオ分野は再現性が難しい。

常に変異するのが生き物の常なのに、決め付けて考えがちな人間。
人間は思い込みがほとんど。直感なんて思い込み。
だから違った視点で現象を見ることができるように、勉強が必要だという。

小さな小さなウィルスのような生物も変異する。
流れの中での平衡状態が生きているということか。
なんか示唆に富んでるな。

緑の山々

山形、福島の里山はきれい。4月5月の新緑の季節は特に。
黄緑やみどり、うす桃色が混じって、もこもことしている。
きれいすぎて力が抜ける。
郡山から磐越道を磐梯熱海に向かう道の両側。
福島から山形までの山形新幹線での峠越えの景色。
会津坂下から只見川沿いに奥会津までの道端。
言葉にならない。

Monday, May 03, 2010

めげてしまった

買ったばかりのビデオカメラ、電池が引っかかって交換できない。まだ1日しかたっていないのに。
めげるなあ。腹も立つ。買った秋葉原の小さな店もあやしかった。もっとしっかりしたところで買えば・・・(結局は同じ対応だろうけど)いろいろ後悔の気持ちが去来。
しかし普段から問題を解決してゆかなければいけないといってるお父さん、気を取り直して修理窓口を探すことにした。
電話対応はこんなとき、絶対否定してはいけないね。
「ご迷惑をおかけしました」
「たいへんでしたね」
「せっかくお使いいただいたのに、さぞがっかりされたことでしょう」
「なんとかいたします」
こんな気持ちが伝わるやりとりがポイントだろう。

中にはクレーマーもいるかもしれないけど、小手先の対応はかえって傷を大きくする。
人間力のいる仕事だと思って、トップ自らクレーム対応に誇りを持とう。

Saturday, May 01, 2010

起業家に一生ついて回ること

資金繰りの苦労、逃れられないものだと思ったほうがいい。
これは成功しても続く。伸び盛りの時ほどお金が足りない。
会社を経営する限り、お金が足りない心配は一生ついて回る。
そういうもんだと腹をくくりなさい。