お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Sunday, May 23, 2010

エンドロピー増大の法則

部屋は、ほおっておけば散らかる。
金属は、ほおっておけば錆びる。
記憶も、ほおっておけば忘れる。
整理された美しい状態は、ほおっておけばほこりをかぶる。

使いやすい、美しい、エネルギーに溢れる状態は、ばらばらになり、錆び、すぐには使えない状態になってゆくのが世の常。
DNAの遺伝子情報も、コピーを重ねるうちにエラーを起こす確率が高くなって、制御不能の細胞をつくってしまう。これががんであり、生命の終わりだそうだ。
秩序を保ったエネルギーの高い状態は、熱になり、解放され、エネルギーの低い状態になる。いわば死ってこと。これがエントロピーの法則。運命みたいな感じだ。

生きているというのは、逆らえないこの法則に挑んでいる状態。
生物の体は、常に自らの細胞をこわし、新しく作り入れ替えて秩序を保った状態にしようとする。
数ヶ月で人間の細胞は、すっかり新しいものに入れかれられているそうだ。それが新陳代謝。
食べたものは消化してばらばらにし、また分子レベルで組み替える。だれが命令するでもなく細胞同士がおたがいに空気を読みあうようにして、こういったことがおこっているという。

生きているってことは、常に自分から先回りして壊して作り直してゆくことであり、だんだんエントロピーの法則で遺伝子のコピーのエラーが増える前に、自分とは別のあたらしい命に次の世代を受け継いでいくこと。
環境の変化にも自らを変えてゆく。どちらかというと突然変異の変わり者が残る。みなと同じでないものがいることで、生き延びる知恵を授かってゆくのか。

生きていくってことは美しいってこと。流れの中でバランスを取り、自ら壊し作り直して、環境の変化の中で新しい秩序や作品を作っていこうとする意志そのものみたいだね。

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