お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Thursday, September 30, 2010

ブダペスト

ヨーロッパ中からの観光客が多いので驚いている。まだ日本人やアジア人はあまり見ない。
アムステルダムもヨーロッパ中そしてアメリカからの観光客が多かった。
たとえばゴッホ美術館は世界中の観光客でごったがえしている。お城や景色じゃなく、絵を見に来る人がこんなに多いのだ。
不況といえども、世界中からの観光客を呼べる体制って、見習わなきゃね。

町を見下ろす山の上のレストランに連れて行ってもらった。眼下に広がる町の明かり。この町に200万人が住んでるんだね。

Wednesday, September 29, 2010

無理な納期の注文にも対応してくれる

こんな評判の会社や、それを売りにしている下請企業があるけど、きついよ。
製品を安く届けるには、手順の定型化が王道なんだけど、それと逆行することだから。
もちろん少量多品種用にプログラム化されていてできるのならすばらしいのだけれど、マンパワーで無理してやっつけるのなら続くかな。会社としても定型化しないで不安定な部分が残るはず。
受注産業は交渉力とか担当者への接待への依存がよく行き過ぎる。ブランド力が物を言うような分野ならいい。そうでなければオーダーメードよりハーフオーダー、または既製品にしなくちゃ。
建築業界を長く見ていて、いやになったよ。

売るほうは難しいね

当たり前だけど、買うほうだと歓迎されるし売るほうは難しいね。アポひとつとるにも。知らない海外の事務所を訪問してミーティングするにも。
留学生やボランティアや買うほうはお客さんだけど、売るほうはより努力が必要。それから海外で仕事に就くことは、やはり同じくらい大変なことだね。
もちろんお客さんは、自分にとっての製品の便利さや、何かあったときのフォロー体制を見て買うんだけど、その流れが流れ始めるまでが大変。
縁のない場所にどうやって突破口を見つけるか。
どうやってお互いの信用を育成してゆくか。
人間力も問われる。

けっこうゆるい

お父さん、いろいろ書いてるね。海外へ行きなさいとか、向上心のこととか、仕事とはこんな感じだとか。
知らない人なら、さぞかしばりばりやっているように読めるかもしれないけど、君たち知ってのとおり、いたってゆるい。スローペースだし、無理していない。逆に進捗が遅すぎて、ビジネスマンとしてはどうかなっていうくらいだ。

そんなお父さんがこうやって生きてるんだから、運がいい、周りに恵まれているとしか言いようがない。
「売り上げ目標xx億円、目指せ大成功、勝ち組だー」
これは決して言わないし、言えない。
ただただ、お客さんと会話して、今まで縁のなかったお客さんにも「重宝してます」って感謝の言葉をもらい、製品を利用し続けてもらって、こちらのたりない部分も理解してもらい、待ってもらい、育ててもらっていることをありがたく思って、期待にこたえたいから磨き続けているんだ。

「計画では何年後に売り上げxx億円」なんて言ってまわれない。有名になりたいなんて思ったらだめだろうね。
もちろんできれば早く見合う収入を得て、自立した経営をして、新しい開発のためのお金を使えればと願っているだけ。むずかしいね。ちょっと使いすぎかな。
期待にこたえて流れに乗ってきたら、お客さんに答えてくれる人へバトンタッチして終わり。そのときどれくらいのものかもわからないけど、ただそれだけだ。

Tuesday, September 28, 2010

緊張感コントロール

ファミレスで勉強するようになったのも、旅に出るようになったのも、適度な緊張感が自分を別次元のフローに没頭させてくれると意識するようになったからだろう。
お父さんの友達も、山岳レースに出たり、ギターコンテストに出たり、街角でライブをやったり、いまだにチャレンジしている。心地よい緊張感に自分から進んで身をおくって、まわりから見るとすごい。なんかいいよね。

成田離婚

新婚旅行で海外に行ったら不慣れなことからいらいらしてけんかになって、不信感から将来への不安へ。成田に着くころには離婚決意。これが成田離婚といわれるものだそうだ。
しっかり学生時代に不安と向き合う旅をし、こんな場面にもそなえておいて、いい家庭を作ってくれよ。

60才になったら

またアフリカで住みたい。シニアボランティア。
何ができるかな。
それに、健康な体を作っておかなきゃ。

海外での緊張感

お父さんは大抵海外出張はひとりだから、ホテルから町に出るといつも緊張感がある。どこに何があるかわからないし、危険な場所はどこか土地勘もないし、レストランにしたってどんな食べ物を注文したらいいか想像がつかないし、バスや電車に乗る切符の買い方だってわからないし、それに英語では言葉が通じない国だってある。
初めての訪問で目指す会社にどうやっていったらいいのかとか、駅についたはいいがそこから何に乗って目的地に行けばいいかなど、解決しなければいけない課題が次々と起こる。昨日はグーグルマップで訪問先を調べたら、あまりに駅から遠いので呆然としてしまった。会社は観光地ではないから、ガイドブックに情報なんてない。ガイドブックもツアーガイドもない旅を何度したことか。

東京では何のこともない些細なことでも「ああこんなことも、地方から来たおばあさんだったら大変なんだろうな」と思わされる。
よくおじいちゃんやおばあちゃんと旅行に行くのに頼りにされるのは、安心感なんだろう。お父さんも初めての土地を旅するのだから知らないことばかりなんだけど、何とかしてくれるだろうというような。

先の見えないこれからの世の中を生きる力も、海外出張や留学も、きっと同じようなものだろう。
ほっとしながら、ホテルでブログを書いている。

いい夏休みだった

2010年の夏は思い出深い夏休みだったね。
キャンプで家族の絆を確認できたし。
その後のおばあちゃんとの旅行も、それぞれの両親どうしの対面も、心に残るものになった。

不言実行

有限実行がいいって意見も多いけど、お父さんは不言実行のほうが続く。
言いたいのもぐっとこらえて、心に決めたことを続けてゆく。
言ったらそこで緊張感がなくなって、続かなくなってしまう。
それに、思うように行かないことが世の常。批判を受け入れて萎えてしまうのもね。
言ってなければペースを変えればいいだけだ。
そして時の来るのを待つだけだ。

いかに人を使うか

「経営者はいかに人を使うかだよ」
昔よく聞いた意見だけど、やっぱ違うと思ったね。裸の王様じゃやっていけない。
「いかにモチベーションを高めて方向性をそろえることができるか」
これもよさそうなんだけど、ちょっと違和感がある。運営管理者でおわらないか。

思うに経営者は方向性を示して、「この指とまれ」って支援者を集めて理想を実現してゆくんだけれど、それにはかなり深く考え抜かれていないといけない。構想された設計図だ。
デザイナーに近い部分が大切なような気がする。
日本人にはわかりにくいCEOとCOOの区分って、こんなところから来ているんじゃないかな。

ちなみに「人を使う」発言は、若いときに先輩社員さんから出たものだったけど、「じゃやって」と言ったら何でも「うん」と言ってくれただろうか。

ないから自分でやった

お金がないから自分で作ってみて、それが自分の中で宝になったことってたくさんある。最初は見栄えも悪いし、人様に使ってもらうには足りないものばかり。自分でのチューニングをいちいちしなければいけないんだけど。

ソフトやパソコンの利用、ネットワークを知ることができて仕事に発展したのも、海外との仕事のやり取りをしているのも、元はといえばお金がなかったから。そして誰も回りでやったことのないという、魅力的な分野だったから。「失敗したってどうせ周りもできないこと。」自分でやるっきゃない、自分で調べて作るしかないっていうのがきっかけ。

「とてもやれないし、時間もないよ」というくじけそうな言葉をぐっと飲み込んで、「なんかできたらすごいことだろうな」と自慢したいような動機を力に進めていったことだ。
思うような結果がなかなかでなかったり、現実を見ろよと批判されたり、かならずそういったことはつきものだ。
だけどおばあさんになって、縁側で猫を抱きながら夕日を見つめて「昔ね、こんなことに憧れたんだよ」って言うシーン。そんなわくわく感を慰めにひとりにんまりと。
それに続けられたということは、まわりに理解者がいたということと、それが嫌いじゃない分野だったということなんだろうね。

ある程度経験を続けていくと、お金は必要だけど周りの力も借りて、人様の前に出してもおかしくない作品になってゆく。このギヤチェンジも、吹っ切れないとできない。いままでは全部自分でやらなきゃって思っていたんだから。
そしてふと気がついてまわりをみると、当時同じレベルだった人ははるか彼方に。いかにどんどん道を進んできたか、振り返って実感することがある。

子供たちにもそういった体験をしてもらいたいんだ。

チラシつくり

お父さん、製品のチラシを自分で作っているんだけど、これは作品つくりだから脳みそから汗をたらしながらやっている。他の人に代わってもらいたいような、やっぱり自分でやらなきゃいけないような。ツボをはずした批判も会社のみんなから受ける。逆に遠慮されて何も感想の出てこないのも腹が立つ。みんな真剣に考えてるのかって。

大会社だったら宣伝会議みたいなのがあって、若い人が業者使って提案書を出させて、「こんなものができました」と会議にかける。それを上司がああだこうだ言いながら何度か修正させる。何でも盛り込まれたり、コンセプトがずれたり。行ったり来たりする。そして最後には他との期限の絡みもあって「まあこんなもんかな」という感じで収束するのだろう。
小さな会社でも「自分はデザインセンスがない」って言って、チラシつくりを業者に頼むことも多いだろう。
意図や機能を業者に説明する過程で、欠けているものを見つけるかもしれない。岡目八目で、第三者の広告業者のほうが、お客さんが感じるツボを見つけるかもしれない。けれども大抵は「何とか書いてみましょう」「お任せします」で、ニッチな本当に光るはずのポイントをはずしてしまうのだろう。

予算がもったいから自分でソフト使って始めたんだけど、チラシつくりはビジネスの本質に迫るものだと気がついたね。
どんなお客さんを想定するか。
どんな問題を解決してもらいたがっているか。
それに対してどう答えることができるのか。
簡潔に深く表現できるか。
それはツボを押さえたものであるか。
自分の思い込みから、相手に必要な情報が抜けていないか。
チラシつくりは経営している人がやるべき仕事だと思った。

なるほど、リクルートという会社から、若い優秀なベンチャー企業がどんどん生まれるわけだ。

他人の飯を食う幸せ

旅や親戚の家でのお泊りなど、貴重な経験。
アウェイでの試合。他人のホームグラウンドで、他人とかかわりながら身を寄せさせてもらう。
そして異文化の環境に身をおくことで、はじめてわかることがある。
若いうちになるべくたくさん、他人の飯を食うことが必要だと思う。
どれだけ他人の飯を食ったかで人間が違ってくる。

「書くのが苦手」はコツを学べば楽しくなる

まずはどちらかというと話すほうがラクというタイプと、書くほうがいいタイプとがある。君はどっちかな。
お父さんは後者だな。
話すのはいろんなそのときの状況に左右されて大切なポイントが流れていってしまうし、タイムリーに必要なことを頭の中から取り出せない。まずお笑い芸人にはなれないね。

お父さんが書くのがうまいといわれるようになったのは、事業計画のプレゼンテーションの講座を受けてから。ツボがわかった。すると会話全体の中でも自分の立ち位置や流れが見えてきて、周りの反応もどこに反応しているかがわかり、修正できるようになった。頭の中で文書が地図のように見えて、「どの部分のことに反応しているんだな」とか「相手の話の中の環境(前提条件)が自分の地図と違っているから、ここをすり合わせしなきゃいけないな」ということが見えるようになったんだ。
もうひとつ。「要するに何?」を自問自答しつづけることと、ピラミッドストラクチャー。このことは以前書いたね。

それから海外の技術者とのメールのやり取りがいい訓練になった。
彼らは思っても見ないことを質問してくる。そうか、それは説明してなかったなと気がつく。当たり前だと思っていたこと。前提の共有。案外これが抜けているんだよね。これで「立ち位置の違い」を簡潔な文を積み重ねて、埋めてゆくことの大切さを体得したよ。
難しい言い回しや単語は要らない。伝わる英語は短い文を、ある順番で書いてゆくことがコツ。これは日本語の文章でも同じ。英語は通じるようになるし、書くのもうまくなる。

あと、伝えるのにお決まりのパターンというのがある。テレビショッピングが代表的。思い出してごらん。あれが文章の書き方の手本みたいなもの。

今までのことは書き方。表現の仕方についてだ。それでは書く内容は?
それは思いついたとき、はっとしたとき、どんなことでもマイブックにメモで書き溜めている。ときには絵にして。ひまがあると見直してイメージを広げている。
アイデアは小川を流れてくる野菜のようなもの。がばいばあちゃんじゃないけどね。そのとき拾っておかないと、次はいつ流れてくるかわからない。

いい教材に自然に触れる大切さ

小学校のころ、夕方6時半から東京12チャンネルで科学の実験番組をやっていた。白黒の映像。内容もキャラクターが出てきたり、お兄さんが出てきて噛み砕いて説明したりしてなかった。どちらかというとディスカバリーチャンネルのような感じ。でも面白かった。いまでも模型の火山から、もくもく白い煙が出ているシーンを覚えている。
マンガもたくさん見たけれど、同じくらい面白かった。

中学2年生のとき、本で読んだ超伝導のことを物理の先生に質問してみた。学園祭でリニアモーターカーの実演もしていたから。だけどその50を過ぎたベテランの先生は、超伝導のことは何も知らなかった。期待していたような答えは返ってこなかったし、その後調べて教えてくれるということもなかった。

小学校5年生のとき、学校で物が倒れる安息角のことを、四角い積み木で実験した。お父さんは本気で、自分が世の中で最初に法則を発見したような気分になった。一人で興奮した。でも教科書に書いてあった。ちょっとがっかりした。

きっとお父さんは実験や観察の面白さを、あの白黒のテレビ番組をじーっと見つめているうちに心の中に刻み込んだんだ。
子供たちに大切なのは、キャラクターでもお兄さんの芝居じみた解説でもなく、小さな驚きの映像なのかもしれない。そういう体験を君たちにもさせてあげたかったんだ。

アムステルダムで見つけた違い

ホテルのシャワーに高温との境の設定があるけど、38度になっている。日本は40度。
バーでお客さんがずっとまっている。カウンター内の女性が厨房に行ってしまって出てこない。出てきたら何事もなかったように Can I help you? お客さんは待つのがあたりまえなのかな。
しょぼしょぼ雨が降っても、あまり傘をさしている人を見かけない。濡れて歩いている。フードをかぶっている人も見かける。日本は歩いている人みんなが傘をさすだろう。
ホテルのバーは英語で注文する人がほとんど。きっと海外からのお客さんだろう。でも、母国語は英語じゃないかも。みんな英語を普通に使うんだなあ。

Monday, September 27, 2010

すぐ人がかわる

「大手なんて、すぐ担当がかわるんだから。そのときの担当者の情にほされてことを決めても意味ない。」
「都合が悪くなると移動だ何だって、責任取らないんだから。」
「下手したらかさにかかって脅してくるんだ。横暴だよ。」
おじいちゃんがいつも言っている。
だからどんな大きな会社が相手であっても、毅然とした決断を。
時にはにこにこしながら、時にはけんかしても。

そういえば日本のトップもすぐ人がかわるよね。

たまごの時代

「おとなになるちょっと前に
おとこの子も
おんなの子も
固いカラのたまごの中に閉じこもる」

どんな姿で出てくるのやら、周りは気長に待つほかない

「ここらで親もひとやすみ」

絵本作家の永田萌さんの詩を天声人語で紹介していた。
お父さんもちょっと不安だったのか、心に残ったよ。

厳しいお父さん

「そんな甘い考えだと、世の中やってゆけないよ」
そういう考えから「ああしなさい」「こうしてはだめ」というお父さんがいる。
だから子供に根性がつくと信じられている。
そういう人は一般に「厳しいお父さん」といわれているね。

お父さんはお母さんからいつも「息子たちに甘い」といわれている。

向上心

「普通にまじめに働いている」というだけではやっていけないのが中小企業だ。大抵チェーン店とか大手の力が大きくなって、下請けに入れば安くたたかれるし、そのままやっていても商店街はジリ貧になってゆく。自然の流れとして世代交代が起こってしまう。
相手は日本国内だけではない。海外からもどんどんやってくる。構造不況化した業種では、どうやってもしばらくは上向かない。これが現実。まじめだけではいやになってしまう。

そんな中で仕事をしてきた。そして「技術で勝負することだけが価値なのだ」と思うようになってきた。交渉力などは必要条件だけど、技術力で生み出される価値がなければ、どんどん値段勝負になるのを、ちょっと遅らせるだけのものでしかない。本当に大切なのは技術力で生まれる価値。
その技術力も、必要とされる環境(お客様のニーズとも言う)にはまってこそ価値になる。

お父さんは自分の信じることを証明したかったから、向上心は消えなかった。
このエネルギーは内から湧き出てくるので、いい感じだよ。
ペースはゆっくりだし、ちょろちょろしたろうそくの炎のようで自慢できるようなものじゃないけど、今も湧き出ている。
みんなにもこの経験をしてほしい。
家族のためにそういった機会を作ろうと、いつも考えているんだ。

仕事ってこんな感じ

没頭して自分だけの宝となる充実感を持つこと
お客さんとの接点をほかに渡さないこと
相手を思うこと
支援者を募ること
どの技術を採用するか決めること
どの分野に身をおくか決めること
イメージを構想して実現すること
現場を知ること
ニーズを感じること
誰にやってもらうか決めること
待つこと
チェックすること
チラシを作ること
リソースを配分すること
絞り込むこと
磨き続けること
代案を考えること
モチベーションを維持すること
好きなこと
ほかよりうまくやれること
信用を積み重ねること
改善して解決し続けること
順番を決めること
リスクを切り分け、とること
「自分がやらなきゃ誰がやる?」というミッションを自覚すること
次世代に引き継ぐこと
誇りの持てる意義を定義すること
身の丈にあった、一番高い目標を選ぶこと

Saturday, September 25, 2010

国境を越えた友達

同じ学生、同じボランティア、同じ旅人。
こういった環境で出会った違う国籍の友達は、先入観なしに尊敬したりできる。
これもお父さんがみんなに「留学するか海外ボランティアをするか」を家訓としている理由のひとつ。
こういった環境に身をおかなければ、なかなか取っ掛かりを得られない。