お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Thursday, November 24, 2011

くるしい構想中と麹菌

酒蔵さんでは麹をうまく作ることができるかを重要視している。
麹とは蒸したお米に麹菌を蒔いて、2日間麹室で培養したもの。お米に麹菌が深くおくまで根を張りたくさん増えるように、杜氏は神経を砕いて温度調節をする。温度が上がると菌が活発になるが、あまりあがりすぎるとお米の表面だけでおわり、根を深く張らなくなる。まるで熱しやすくさめやすい人のようだ。じっくり取り組んで深く構想し、いいものに仕上げる人間のようにしむけなければいけない。
杜氏は麹菌が好きな温度をあまりあげない。好きな水分もあげすぎない。ちょっと菌にとっては環境が悪く飢餓状態にして、麹菌が水分のあるお米の中心に向かってじっくり根を張るように仕向ける。50時間くらいの時間をかけて、徐々に育ててゆく。

お父さんは杜氏のように君たちを育てたいけど、いつまでも親がいるわけではない。よりよく大人になるということは、君たち自身も自分をそういった、ちょっと飢餓状態になるような環境におくという道を、自分自身で選べるかどうかだ。それは苦しいかもしれないけど、自分を伸ばし、大切にすることにつながる。

作品を仕上げたり、構想することは苦しい。深く根を張ることだからだ。急いで表面の結果だけを追い求めることのないように。

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