違うことやってる
お父さんは振り返ってみると、そのとき入った環境と違うことをやっている。今までの通ってきた道は偶然の産物。
大学は家の仕事に関係あるだろうし、数学はまったくダメだったけれど文系よりはマシ、それに得意だった絵を描くことに関係ありそうだというので、理科系に進み建築学科に入った。
最初の図面の授業のときだった。鉛筆で単純な横線を何本も描かされた。いい加減に退屈してきたとき、見回ってきた先生から「ペンシリングが悪い」と言われてがっくりきた。
当時図面は鉛筆で書くのだが、先を自分でやすりで研いで細くし、細い線、中くらいの太さの線、太い線を力の入れ具合で表現していたのだ。だから長い線を引っ張っていると、先が丸まって途中から太くなる。当たり前なのだが、うまい人は先を回しながら同じ太さで書いていた。これがペンシリングのよしあし。
お父さんは「シャーペン使えばいいじゃないか」と思って、見回りの先生はアホかと思った。それ以降その授業は馬鹿らしくて出なくなった。
実際、学生やその後課題の図面をシャーペンで書いていたし、空調設備の会社に入ってもみんなシャーペン。それに学生時代後半にパソコンを見たとき、CADソフトを使ってパソコンで図面を書くようになると思ったが、今はそのとおりになっている。
結局大学に入って何をやっていたかというと、テニスをやり、旅をし、いろんな本を年間150冊くらい読んだ。
将来おじいちゃんの会社を継ぐにしても、きっと孤独な判断を迫られる。自分で決めなくちゃいけないし、誰も聞く人がいないだろう。小さな会社だから。だから「孤独に強くなる」「自分で判断できる」「自分で調べることが苦にならない」ということに対して準備しておかなければと思った。それが一人旅であり、海外行きであり、自分で選んで本を読むことだった。
なるべく遠い南米を旅したのも、学生時代の今しか出来ないと思ったから。テニスは単にやってみたいあこがれだった。
それからパソコンに興味を持ったのも、何度も同じことを繰り返さなくて済むと思ったから。暗算が面倒でしょうがなかった。それに当時の事務は、転記や繰り返し作業の連続だったしね。
おじいちゃんの会社に入っても、違うことやってる。
だから君たちに「真面目に勉強していい成績をとりなさい」と言ってない。
言うとしたら「自分から好きなことを見つけて、夢中で深く追求しなさい」だろう。
付け加えるとしたら「今だから出来ること、今しか出来ないことを優先しなさい」
選んだ学校や会社と違っていても。
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