お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Saturday, March 13, 2010

杜氏

日本酒を造るのに一番大切なのは、いい麹を作ること。蒸したお米に麹菌をまぶして麹を活性化させるのだが、米の中心部にいかに菌糸を深くくいこむように育てるかがポイントだそうだ。そのために米の乾き具合や、活動を活発化させる温度を調整する。
たとえて言うと、木の根が地中深く伸びていって、倒れない強い木に育てるよう、「根さんこちら、水はこちら、簡単な表面にはないよ」と深いほうへ誘導するようなもの。楽はさせない。そうでないと、米の表面だけで糖化が終わってしまうそうだ。

麹つくりがうまくいけば、後工程のすべてが決まる。「鉄は熱いうちに打て」とか、小さいころの育て方がその後を左右するみたいな話。
だけど米も毎年出来が違って、水を吸いやすい年もあれば、そうでない年もあるそうだ。だから杜氏は何年やっても同じということもなく、完璧ということもないそうだ。愛情を持って見つめ、発酵後の酒の出来具合を想像しながら対処しているという。そういった加減を仕切るのが杜氏の仕事。

この子の未来像を描きながら、愛情を持って今の問題に対処する。表面だけをつくろわず、根本解決を目指す。そのために環境を与えたり、子供からの声無き反応に答える。
杜氏の仕事は子育てと同じだよなあ。

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