君の20代
お父さんは小学校のころ、映画に出てくるアメリカ人の大学生や高校生が、車を運転して、パーティーをしているのがまったくの別世界のことだと思っていた。車はぜいたく品だし、道路は絵を描く遊び場。せいぜい飛び出しての交通事故に気をつけようということがうるさくいわれだしたころ。それがどうだ、大学生になったとき、おじいちゃんの車を運転して、ときどき友達の下宿で鍋パーティ。大学の友達の一人は、アルバイトして小さなヨットも買った。
中学生のころは友達と山へキャンプしに行ったりした。駅で寝て、鈍行列車を乗り継いだ。特急なんて高くて乗れない。北アルプスはお金がかかるから行ったことがなかった。それがどうだ、大学生になったとき、ペルーまで一人旅。行動範囲は飛躍的に広がった。
高校生のころはLPレコードを買うのが楽しみだった。1ヶ月のお小遣いでちょうどLP1枚。ラジオから流れる曲をカセットテープに録音する。ラジオは全部最初から流さないし、途中で曲を終わらせてしまう。どの番組が一番ちゃんとかけてくれるか、これが関心の的だった。FMで土曜の午後にベストテン番組があって、1曲だけカラオケをかけてくれる。世の中にカラオケというと、放送局が使うプロ用のものしかなかった。これを集めていたので、家にその時間帰れなかったときは残念だった。
それがどうだ、大学生になったとき、LPのレンタルが三鷹で始まった。1枚300円。驚いたね。ニューミュージックといわれるものを借りまくった。それをカセットテープに入れて、車で聞く。寝るとき聞く。そのうちウォークマンが出た。一番最初に買ったのは、今はジャズのプロになった友人。渋谷の町で歩きながら聞いていた。驚いたね。それからもう少し後にカラオケができた。でも、会社のお付き合い用というイメージ。FMで録音して、友達とうたった楽しみ方は、今のカラオケボックスで高校生が楽しんでいるのと同じだ。
こんなに大きな変化も、君たちにはあたりまえ。
今がすべて、今がずっと続くと思っちゃいけない。変化の連続なんだ。
0 Comments:
Post a Comment
<< Home