お父さんからの伝言

夕食の食卓を囲んで、おとうさんが家族にするような話を書き残してゆくブログ。 家族の歴史。

Thursday, September 28, 2006

ラケット命

大学に入って、テニス部に入った。あこがれだった。
初めての夏休み、ラケットを持って一人旅に出た。木曾の中津川。
なにも持っていく必要のないものだった。むしろじゃまだけど、連れて行きたかった。
ラケット命だったなあ。

そういえばペルーの国境を旅していたとき、柔道着を肩にかついて、ほこらしそうに歩いていたひげもじゃの、いかつい体をした2人の若者(アルゼンチン人あたりの旅人かな)がいたなあ。肩で風きって歩いてた感じ。アジア系のお父さんに気がついて話しかけてきた。
「俺たちは柔道をやってるんだ。」
お父さんも「柔道をやっていたよ」とさらっと答えた。
そして帯の色を聞かれたので「ブラックベルト」といったら、ちょっと彼らの顔が引きつっていたのを覚えている。彼ら、茶帯か何かだったな。

ペルーでのもうひとつの柔道にまつわるお話。
夜に小さなホテルに泊まろうとしたとき、一緒に旅したアルゼンチンのフェルナンドとアレハンドロが、盛んに値段交渉をしてくれた。ペルー人のフロントの若者は、値切ろうとするアレハンドロに「よそへ行ってくれ」みたいな態度だ。そこで、「ここにいる日本人は柔道が強いんだ。大変凶暴なんだ。」とお父さんをだしにして値段交渉を始めた。
お父さんは打ち合わせどおり、胸を張ってボディービルのポーズを作ったりする。「ためしに技を見せてやる」とアレハンドロ。お父さんはフェルナンドと組んだ。ちょっと小内狩りをかける。がちがちに力を入れていたフェルナンドはもんどりうって倒れるが、しろうとなので手を離さない。お父さんも一緒に乗っかる形になったのだが、そのときお父さんのひざがフェルナンドのみぞおちに。苦しそうなフェルナンド。
「なんて危険な技なんだ、冗談じゃない!」みたいなフェルナンドの大きな身振りと声。実際、ひざ蹴りはリハーサルになかったんだけど。
笑いながら一部始終を見ていたペルー人のフロントの若者は、お父さんたちに部屋のカギを渡してくれた。値段交渉成立!。

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