作品を作るとき思うこと
ある有名な仏師が観音様を彫るとき、「私は観音様を作っているのではない。ただ、木の中にうもれている観音様のまわりの木を取り除いているだけだ」というようなことを言ったそうだ。
お父さんも仕事で、いままで世の中に存在しなかったものを作ったとき、その過程は「もやもやとしたまわりの雲をとりはらってゆく」ような感じがしていた。仏師ならのみをいれて彫るように、それが仕事なら鉛筆を動かして絵を描いてみたり、それがテニスなら動きをちょっとやってみるということだ。すると次の動きが見えてくるのと同時に、うもれている観音様のようなイメージが感じられるようになってくる。そんな感覚。きっとシンガーソングライターや映画監督、デザイナーや料理人など、似たようなプロセスを行っている気がする。
大切な事は体を動かしたり、頭の中身をいったん外に出して書いてみたり。これがまたぼんやりしていたものをはっきりさせる。一見全部はっきりしてからやれば無駄が無いようだけど、それでは霧が晴れない。
最初は完成度が低いだろう。あとは「どうしたらもっと良いものができるのだろうか」という葛藤の継続。言ってみればいつも不満足なのが当たり前の状態かな。その不安の中に生きる事ができれば、夢に近づくのだろう。
自分のペースで。